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ご挨拶

心臓の病理というと筋肉の塊を見て面白いの?と思われる方も多いと思います。あに図らんや、米粒の半分にも満たない大きさの心筋生検標本には、大の大人を驚かせ、悩ませ、惹きつけてやまない造形の不思議が隠されています。その形態学的所見を正確かつ十分に読み取るには一定の経験が要求され、またその知識・読影技術の後進への伝達の重要性は言うまでもありません。一方、この経験主義が形態学の進歩を遅らせ、また「observation onlyである」として忌避される傾向を生み出してきた一因ともなり、無知を前提とする科学とは合いいれぬ教条主義的臭みを醸してきたことも事実です。しかしながら心筋病理には解明されていない病態との関連事象が数多くあり新しい研究の宝庫でもあります。近年臓器の垣根を越えて心血管系と腎あるいは神経系との関連も注目されています。心筋生検研究会は、生命現象の造形美を学びかつ教育するアートの側面と心筋生検〜剖検標本を拠り所にして未知の生命現象を解明するサイエンスの側面を融合できる場であると私は考えています。心不全が将来ますます重要な国民的疾患となることが予想される昨今、本会の役割は社会的にも大きくなるでしょう。実際、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本病理学会等、他学会とのジョイントシンポジウムも近年頻繁に開催されています。心血管系、心疾患、形態学、病理学、生理学、分子生物学に興味のある基礎科学者あるいは臨床医のご参加をお待ちしています。

心筋生検研究会運営委員長 竹村元三